縷紅草~ルコウグサ~

金曜日更新のおはなし

戦争の記録から僕たちはなにを学ぶべきか

2021年8月9日、11時2分。僕は黙祷を捧げる。長崎に生まれてこの方、この日のこの時間、欠かさないように行ってきた習慣である。1分間の黙祷のさなか、僕はさまざまなことを考えた。いまから76年前の1945年8月9日、11時2分、長崎の町に原子爆弾が投下された。…

遣らずの雨

まえがき【どうも泉楓です。なかなか更新ができず申し訳ありません。今回はとりとめのない雑談ですが、楽しんでいただければ幸いです。】 休むのがどうも苦手である。同じ悩みを抱く人は案外多いものだと想像できるが、この悩みへの対処法には個性が出てくる…

シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇 虚構の価値と魂のルフラン

本記事は『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』のネタバレを含む箇所がございます。あらかじめご了承ください。 ーエヴァンゲリオンが終わったー ひとつのアニメ作品が完結したというだけでこれほど騒がれているということは、アニメに興味がない人からみると異…

Franz Liszt <Les jeux d'eaux a la Villa d'Este> フランツ・リスト「エステ荘の噴水」

こんにちは、ねむろえみです。今日はリストのピアノ独奏曲集『巡礼の年 第3年』に収められている「エステ荘の噴水」について感じたこと、思ったことを書いていきます。 前回書いた「水の戯れ」とやや比較しながら聴いてみました。最初の印象としては標題の通…

私の幸福論 第四部 番外編

こんにちは、泉楓です。 『私の幸福論』と題して世界三大幸福論と呼ばれる著作を読んできて、私自身の考えも大きな影響を受けたなと感じています。 倫理学におけるひとつの定理。それはアリストテレスが提示した"人間の営為には目的があり、目的の最上位に…

私の幸福論 第四部 第一章

幸福、それは君の行くてに立ちふさがる獅子である。たいていの人はそれを見て引き返してしまう。ーカール・ヒルティ こんにちは、泉楓です。幸福論も第四部まできて、ついにヒルティの『幸福論』に及びます。ヒルティの幸福論を読み、「私の幸福論」として解…

小林秀雄の『人形』

私の実感から言えば、ゴッホの絵は、絵というよりも精神と感じられます。私が彼の絵をみるのではなく、向こうに眼があって、私が見られている様な感じを、私は持っております。ー小林秀雄『ゴッホの病気』より 人は自らの主観世界に生き、ついにはそこから出…

私の幸福論 第三部

浪費するのを楽しんだ時間は、浪費された時間ではない。 バートランド・ラッセル イギリスの哲学者、論理学者、数学者(1872〜1970) こんにちは、泉楓です。幸福論も三回目ですね。今回はいよいよラッセルの幸福論。ラッセルと言えばノーベル文学賞の受賞者…

私の幸福論 第二部

幸せだから笑うのではない、むしろ笑うから幸せなのだ。 アラン『幸福論』より こんにちは、泉楓です。私の幸福論 第二部ということで、今回から「世界三大幸福論」と評されるアラン、ラッセル、ヒルティの幸福論を比較検討しながら、幸福について考えを深め…

私の幸福論 第一部

幸福とは何か。どこにあるのか。どこからくるのか。快楽とは違うのか。幸福感ではなく、必然性と普遍性のある幸福はあるのか。 アリストテレスは『ニコマコス倫理学』において、幸福こそが誰もが求める最高目標であると語っています。それは幸福が他の何物の…

陽だまりの地縛霊

ネットで名言を調べていると、次のような文章がゲーテの名言として紹介されていました。 自分自身を信じてみるだけでいい。きっと、生きる道が見えてくる。 ひとを前向きにしてくれる良い言葉だと思い、出典を調べてみると、もともとの文章はゲーテの戯曲「…

生物の進化について

小さい頃から水族館や動物園に行くのが大好きでした。こんにちは、泉楓です。今回は「生物の進化」がテーマということで、まずは身近な動物から注目してみたいと思います。 身近と言っても僕が話したいのは現代に生きている動物の話。「キリンの首はどうして…

『映画 ドラえもん のび太の新恐竜』Ⅱ

画像引用元:(c)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2020 こんにちは、泉楓です。今回は前回の続きですね。『映画 ドラえもん のび太の新恐竜』の魅力について語っていきます。この映画は大人の方にオススメしたい!という理由を3つ挙げていました…

『映画ドラえもん のび太の新恐竜』

画像引用元:(c)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2020 こんにちは。先日『映画ドラえもん のび太の新恐竜』を観てきました。泉楓です。 ……え?子どもっぽい? いえいえ。この映画は「ドラえもん50周年記念」として製作されているだけに、子ども…

イマヌエル・カントの三批判書〜実践理性批判〜

「人間は自由の刑に処されている」 サルトル(フランスの哲学者、小説家、劇作家 / 1905~1980) こんにちは、泉楓です。 今回も日々の雑感をまとめていきます。「自由」について考えていると様々な場面でその見えざる影響力を感じとることがあります。 例え…

Joseph Maurice Ravel 〈 Jeux d'eau 〉 モーリス・ラヴェル「水の戯れ」

こんにちは、ねむろえみです。今日から私の好きな作品や関心あるもの、おすすめしたいものを書く予定です。当面は水に関するクラシックの音楽、主にピアノ曲について書くつもりです。理論的なことより、感覚的なことを主観的に語るのが中心になるので、気楽…

イマヌエル・カントの三批判書

あらかじめ死を考えておくことは、自由を考えることである。 モンテーニュ(フランスの哲学者、モラリスト / 1533~1592) こんにちは、泉楓(いずみかえで)です。こちらのブログでは、好きな文芸、アート、音楽の紹介や、それらを観賞して日々感じたこと、…